Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

演技すること

ロシア人は演技が上手い。
きっとそれは普段から思ったことは言うし、感情を素直に顔に出すからなのかな、と思う。

舞踊学校ではさらにАктёрское мастерствоという演技表現の授業を3年間学ぶので最強。

私も、ペトロワという90歳の色んなダンサーを育ててきた先生、
その先生の教職引退後には、卒業までタミーラに習った。

ペトロワについて語ると長いので、それはまたいつか何かの機会で(笑)

この間ドレミファコンサートで踊った、うさぎの踊りは
この演技表現の卒業テストで踊ったエチュードでした。


学んできたエチュードは、例えばこんな感じ:

「ここに大きな木があります。あなたは生命を感じる。」

「今、向こうでお母さんが空襲で死にました。あなたは悲しい」

K ♪ K バレエ
「戦争中に彼氏は手紙を書いているところに、彼女が偶然現れて、二人は喜ぶ。
それも束の間、爆弾が落ちた音が近くで聞こえたので彼氏は彼女を抱いて逃げる」

「遠距離している彼氏から電報です。友達から受け取り呼んでみるとそこには彼は戦争で死んでしまったよと彼の友達からの連絡だった」

K ♪ K バレエ
「鉄砲に打たれて死にました」

「死にかけの友達を引きずって、または引きずられて影へ隠れます」

「ベンチで待ち伏せしている男にナンパされたらどうするか」

「アイスクリームをおいしそうに食べて、ゴミ箱に捨てる演技」

「あなたは彼を愛しています、彼もあなたを愛しています」

「決闘」

「ここに捨てられた赤ちゃんが居ます。あなたはどうする!?で振り向いて
クラスメイトの異性と目を合わせて3分見つめ合う練習(笑っちゃダメ)」

「ドアを開けて部屋に入ると泥棒が入っていて散らかされていた。
貴重品をとりあえず探す。見つからない、大変!
出窓を開けて、下を見ると警察が居たので大声で叫んで呼ぶ。」



本当に最初は何も、できなかった。
ロシア人のクラスメイトの子達は、見ていて鳥肌が立つほどに凄かった。
私はそういう気持ちになることも出来なかったし、即興で演技しろと言われても、
動けなかった。

それが、どうしちゃったのだろう;
3年学んだら、無意識のうちに少しばかりだけれども、身に付いた。

本当に役立っている。
バレエ団では例えばくるみ割り人形の1幕の道行きや、踊りでないところの部分は
音は流すけれどリハーサルする必要が無いのでみんな特に動かない。
舞台で即興。
私は一番手間のかかる女の子を演じていたり、気分によっては変えていた。
そしてその子を面倒みる母親がいたり、また悪戯好きな男の子がいてその子に恋をしている
女の子だとか。


街やメトロでも、ロシア人は演技をしている。
例えば、「パンを買うお金もありません助けてください」「娘が死にそうです助けてください」
などと、わざわざ震えた文字でダンボールの切れ端に書いて歩き回り、
お金を人々から貰っている。

たまにやりすぎた演技もある。(1歳くらいの小さな子供を逆さまに抱いていたり)
こういうのはいただけないし、その子供がかわいそうだと思う、、、

やりすぎは良くないね。