Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

体重移動

переходитьという言葉に潜む意味を考えていた。私にとっては
片足から片足への体重移動(pas de bouree) = branle(pas pied)を踊るアンリ3世

クラシックバレエ初期のプログラムに
分類されるpas piedは
私もbattement frappe,battu(2/4拍子)
allegro(2/4,4/4,3/4拍子)の最後に装飾のpasとして、基本的に8~16тまでの短い即興的なコンビネーションに使っている。
例)2/4拍子 最後4т
pas pied×3,contretemps,sissonne.

pas piedは別名、
1.ブルターニュ地方のbranle
2.オーベルニュ、プロヴァンス地方におけるbouree 後のgavotte.

トゥアノ・アルボーは
ブランリはフランス宮廷舞踊だ、と主張しているけれど
私はキャラクターダンスの部類と解釈する。bouree d' Auvergne (オーベルニュ地方のブーレ)
ロシアとウクライナの舞踊が
琥珀玉の首飾りの有無で
女性は腕や首のライン(port de bras)の動きにアクセントをつけていたように
フランス民族もアクセサリーによる
民族意識があったのだろう。
19世紀のフランス民族衣装といえば
ブルターニュ地方の黒のピロード地に
花の刺繍、柔らかいレース編みで
膨らみのある大きな髪飾り。
純真、可憐さをイメージさせられる。
プロヴァンス地方のアルル、アルレジェンヌ。紅色のスカートに、むぎわら帽子を腰に提げて踊る女性。

キャラクターダンスのガリヤード、
ジーグは16~17世紀にかけて
宮廷舞踊の部類としても幅を拡げ
17~18世紀にはクラシックバレエへと発展する。例を挙げれば、
Pas de basque,saut de basque.
ここではピレネーの少数民族、
バスク人との関係はなく
バレエにおけるbasqueとは
きこりの動きを意味する。

ファラオの娘(1862)
ラ・バヤデール(1877)を見て、
プティパは作品そのものをgrand pas de basqueと確立させたのだと思った。
18世紀に登場したマリ=カマルゴに続き、19世紀ではgrand(90度以上)
脚を放り投げて跳躍するための訓練が
ロシアの舞踊教育プログラムとして
取り入れられていたのだろう。
basqueはロシア、ウクライナ、
コーカサス、スペイン、フランス、
ポーランド舞踊にも含まれる。

今後もクラシック、キャラクター、
宮廷舞踊とも
ロシアの舞踊教育を手本とし
一瞬の躊躇も挟まない、厳格で美しい
ロシアのバレエと関わっていたいと思う。



Pas de basque