Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

ボリショイ劇場

私の母はロシアバレエが大好きで

その母の恩師もまた、ロシアバレエが大好きで

流れでというか、話せば長くなるがロシアに私は留学に来たわけでそれが14年前。

 

ロシアといえばボリショイ劇場であって、

留学中に観に行ったカルサールに感動して

留学中にドンキホーテのキューピットの子役を踊れたことは強い思い出になり

目の前でオシポワとかカプツォーワが踊っていて

私はロシアでバレエダンサーになることが憧れで

ボリショイバレエ学校ではじめて見た国家試験が故ボンダレンコの最強クラスで、そこにはアルチョムオフチャレンコにミーチャに、まあまあもうすごい国家試験を見て圧倒されたのと同時に四年後は私もあれができないといけないのかと何かのスイッチが入り

 

でボリショイ劇場に入団していく人はその中から選ばれた綺麗なロシア人らで

ボリショイ劇場という凄さを垣間見たわけで

 

だったのに

 

 

ボリショイ卒業して、ロシアのバレエ団に入団して、ロシアバレエへの憧れは一瞬にして消え

、大学に入ってボリショイバレエ学校の子供らを見てるとなんだか士気が激落ちた感があり

誰々の議員の娘だから退学させられなかったという事実が目の前にあったり、賄賂だったり

 

しかしそれでもボリショイバレエ学校のきちんとした授業に心休まり、先生らと話し、ボリショイ劇場に、そのバレエ的な実力で入団した同期たちと食事いったり

やはりその凛とした美しさに私は癒やされ

 

ボリショイ劇場にはやはり、一般人には手の届かない神聖な場所であって欲しかった。

 

なのに

 

 

私が勤める国立劇場がボリショイ劇場から招待を受けて、あの舞台で今踊っている。

 

ネットで生中継で見られるから、今見ている。

ああ、なんだこれは。

これが本当にボリショイ劇場で上演中なの。

 

 

 

ボリショイの舞台でこんなレベルの公演をロシア国家が許しているという事実、しかも、ボリショイ劇場の常連客から金を取って。

 

どうしてこんなにロシアバレエは墜ちてしまったの。違うか、ソ連バレエがよったんだよね。

 

私は娘がいるから4日間街を離れるのは無理だと断り、行かなくて済んだから良かったけれど、ボリショイ劇場で踊る彼女らは痩せず、テクニックも磨かず、練習もせず、どうして恥ずかしくないんだろう。

 

このツルゲーネフの作品をバレエにしたというアイデア、演出はおもしろいのかもしれない、振り付けも、悪くない。それこそボリショイ劇場のダンサーが踊ればいいバレエなのだろう、

しかし振り付け間違えるダンサーがいる時点で、もうわかるよね。

 

主役だけ、綺麗だよ。ボリショイのソリストダンサーより普通に綺麗だし上手い。

彼女はクリスチーナ・コーチェトワ。私は彼女の大ファン。前も書いたけどオブラスツォーワのコピー、なのに白鳥もオーロラも、というかクラシック作品はオババプリマの陰謀により踊らせてもらえない、美しいバレリーナ。彼女と4羽の白鳥を並んで踊らねばならない私の恥ずかしさを察していただけますか。でも舞台に出なくてはならないのでできる限り練習してこの私めの脚が少しでもマトモにみえるように工夫を凝らすのであります。

ネオクラシカルの作品は、オババらは踊れないから彼女に譲っている。

 

14年前がこうでなくて良かったのか悪かったのか、私は今ロシアにいる。

言えるのは、14年前のロシアバレエが今のレベルだったら、

絶対ロシアに留学してない。

 

将来、バレエ教室を持って、子どもたちにバレエを教えるかもしれない身でここまであからさまに書くのはどうかという感じだけど、

私が留学したときに見たレベルのボリショイ劇場はもう存在しない。

 

わあ、、主役は綺麗なうちのクリスティーナ!て見てたら、、ソリストとして出てきた二人組が45のオバチャン。。。下手じゃないけど、歳だよ。もう歳。言う人いないからね、わかんないんだろうね。自分のことを第三者目線で見ることを、どうしてしないの?アーティストなら、余計必要だよね。

 

ロシアに留学する人がいたら応援したいし、止めないけど、現実を知ることも大切だと思う

 

言いたかったことは、

ボリショイ劇場にこうなって欲しくなかった。

クリスティーナが踊ってることは嬉しいけれど。