Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

ヴォルガ川で泳ぐ

今、バレエ団のみんなが客演でロシア国内を寝台車とバスを乗り換えながら回っている。

ロシアの法律で、子供が七歳になるまでは別の県への出張は行かなくていいことになっているから、私はデカい顔して客演を断れた。

 

ああ、これは出産した女へのロシア国家からのプレゼントだろうか!本当に嬉しい。

 

客演を誇りに思える人、色々な舞台で踊ることに価値観を見い出せる人には、いいことだと思う、けど私は客演が嫌い。自分の物に囲まれた楽屋で準備して知ってるトイレで用足して、知ってる舞台で踊ったら真っ直ぐ家に帰りたい。

 

20代前半の頃、客演ばかりの私立バレエ団で働いておいて何を言う、て感じだけど、バスと寝台車のあとに踊らないといけない客演がイヤになった。バス移動の間はトイレも、そこらへんのとうもろこし畑とか停留所の裏だし。そこらの住人にコラー!!と叱られたときはもう私ら何してるんだろうと恥じたし、かと言って膀胱炎になりたくないから我慢するわけにもいかないし。

 

少なくとも私の回りには、客演好きな人が、いない。だから子供がいることで正式に断れた私や、他の七歳以下の子持ち同僚を羨ましがる、子供のいない同僚たちにちょっと申し訳ない気がする。 

 

職場恋愛してる若い子達は、彼氏と過ごせるからいいみたいだけど、職場恋愛してない若い子達からしたら、ロシア国内の客演はギャラが割に合わなすぎて、愚痴文句で泣きそうになっているから、私は「よし、君も産みに行こう」と冗談を言うしかない。

 

モスクワから、留学時代に知り合った後輩にあたる日本人ダンサーが客演でうちの劇場に来た。彼も客演嫌いらしいけど、子供いないから断れないものね。私はその賢い彼と話すのも初めてで、日本語も話せて嬉しかった、また来てね。

 

2019年は、さすがプーチンが「劇場の年」としただけのことはあって、各劇場で交換客演や舞台マラソンをしていて、劇場幹部としては稼ぎになるのか、ステータスと感じているのか知らないけど、珍しく仕事しているイメージがある。

 

あー、ロシアの夏は良い!

ヴォルガ川前でクリミアTシャツを着ると、まるで黒海に来たようだ。
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冷たくてビビリながらも、ばちゃばちゃ楽しそうな夫
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