Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

練習不足だった戦勝パレード

今年5月9日のロシアは、73年目の対独戦勝記念日でした、
モスクワのクレムリン周辺だけではなく、ロシア全土でドンチャン騒ぎです。
モスクワのはプロ。
モスクワで、割高なギャラにつられてダンサーとしてバイトしたことがあるから間近で兵隊や官僚を崇める機会に恵まれたけど、首がするりと長くて背丈も揃ってる兵隊の行進は美しいしかっこよかった。

モスクワ以外の僻地では大体何かが足りていない。(ペテルブルグは知らない)

共和国にお金が無い場合、当然ながら戦勝記念日運営費も節約される。
私が住む共和国では戦車が足りないから他の共和国からレンタル。
9日に向けて、外がゴゴゴゴゴーとうるさい日が数日続いた。別の共和国から戦車や大型トラックの走る音であった。センター街に住むマイナス点とは、これか!ただの睡眠妨害。

今年は街の工事や、ワクチン(大不足)に既にお金を使い果たしたのか、なんだかパッとしないパレードだった。リハーサルも明らかにしていないの丸わかり。
きっとリハーサル監督のギャラをケチったのだろう。それじゃあこうなっても無理はない。
パレードなのに戦車が渋滞。ゲオルギーリボン柄の旗を担いだ男の子たちは立ち往生、渋滞に戸惑い彼らは旗を畳み、隊列から抜けて去って行った…笑
あとで怒られてるよ絶対

国立劇場のバレエダンサーなので毎年召集かかっていたが、産休中なので声がかかるはずはなく、夫とパレード鑑賞へ。毎年の事ながら、同僚が戦車に乗って鉄砲持ってポーズしている。
ディズニーランドの昼パレードのロシア版だと思ってください。

なにかと言えば病人証明取って休む彼らを知っているだけに、なんとも戦車にそぐわない!戦車が泣いてるよ笑

オーケストラもオペラも駆り出されて外でライブ。祖国愛の歌に国歌に軍歌。
よくここまで国民一丸となって国を愛せるなと日本女は想う。
夫家族は戦勝記念日に関しては無関心で、祝うこともなくダーチャへ行っていたらしい。
姑の父親は戦後生還者として国に讃えられた将校の一人だけど、数年して戦時中に負った傷によって死んでしまったらしい。姑も夫もそれを思うと祝う気にはならないと言っている。
義父も無関心だが戦争ドラマが大好きだから、戦争ドラマしか入らない9日はテレビの前から動かない。兵役した中老たちは揃ってあの番組が好きね、星チャンネル。懐かしいのだろうか一緒に見ていると嬉々として戦車の名前とか役割を教えてくれる。



なんでみんな三つ編できるの?!習うわけ?かわいいじゃないか



産まれてくる娘のひいおじいちゃん(ロシア側)は戦った元将校かー!と思うとムズムズする。もうひとりのひいおじいちゃん(日本側)は京染だ。なんかおもしろいな。


今はまだ戦争で活躍したベテラン達が辛うじて生きているから戦勝パレードも、ロシア国民にとっては個人的には意味があると思う。凄まじいプロパガンダだけど。
ベテラン達は普段静かに暮らしてるだけに、この日は晴れの日で人々の前にお洒落して車に乗って登場し、孫たちからカーネーションの花束をもらう。みんな嬉しそう。この日活躍するのは救急隊員。普段と違いすぎる派手なイベントに、ベテラン達は体調不良を起こす者多数。

けど、あと10年もしたら彼らはいないだろう、ここの共和国にはベテランはもう20人ほどしか残っていない。聞けば他の共和国もそんなもんだ。
それでもパレードをする意味はあるのだろうか。
youtubeで四歳の子供が軍歌歌っている動画を見つけて唖然。どこへ行くんだろうロシアは。