Sunahara Kanon's Diary

ロシアで子育て奮闘中、バレエダンサーの雑記帳

ダブルキャスト

ここのところずっと酒のことしか書いていなかった。休みがもらえたので今日はまともに書いてみよう。

ロシア人といえば大酒飲みでおおらかなイメージしかないかもしれないが、バレエの人々に限ってはそれだけでは済まない。嫉妬やら張り詰めた冷たさを感じさせられることも多々ある。

私はこれらを「現代ロシアの若者による冷戦期間」と呼ぶことで心を落ち着かせている。事実、ロシア人は一瞬にして熱くなるが、一瞬にして冷めて完全に忘れてしまう。あんなに怒って泣いていても、3時間後には「見てこの帽子、私の綺麗なブロンドにぴったりでしょう!ごはんたべにいこうよ」と誘ってくるのだ。だから私はロシア人が好き。

連日公演だったのでダブルキャストでリハーサルしていたのだが、本番前日に監督から私と日替わりで踊る予定だった女の子が役を外されてしまい、私が一人で全公演分踊ることになった。

その一連の出来事については省略。「酒に流そうぜ」ってみさえと喧嘩した野原ひろしが言っていたような。そういうスタンスでいるとラク。

連日公演と聞くと 「わ、疲れそう。」と思われがち。実際は身体的に”軌道に乗る”のでそうでもないし、報酬も高めなので達成後の満足度は半端ない。しかも今回はたったの6公演だったので軌道に乗る前に終わった。数年前の客演、とくに真冬のシベリアツアー!あれは凄まじかった。全40~50公演のうち、本番前にまともにストレッチする時間があったのは1~2回。それでも身体は軽くて1日3回公演でも難無くこなせた。移動中のエンジン凍結によるバス故障、大雪災害による飛行機遅延はあたりまえ。そういえばイタリアでは露店にバスが突っ込んでしまい、着いた先は劇場ではなく警察署ということもあったな。

本番前に楽屋でお茶飲みながら化粧する時間があるという国立劇場ならではの「安らぎ空間」、素晴らしいよ。

明日からまたしばらく公演をこなしたら、5月1日は祝日!

続いて5月9日は大祖国戦争戦勝記念日だから少し連休もらえるかな。今年も軍事パレード参加する予定、国を護ってくれた我等の兵士たちに感謝の意を込めてね。

 

この人形役、たぶん50回くらいは踊ってる。シベリア公演でリボン飛ばしてしまったので今回はかなり頑丈にピン留めで抑えた。

カツラとばなくてよかったよ。でもそのほうが観客にとっては面白いよね。

どうしても客席に監督と芸術監督がいることを意識してしまうからそういうアドリブ、サプライズはできない。